レンタルサーバーの機能やスペックを見ていると「転送量の目安」といった項目を目にすることがあります。 ウェブサイトへのアクセスが少ないうちは、あまり気にする必要はない項目ではあるのですが、できれば、
と自信を持って決断したいものです。
そのような決断を行うためにも、ここでは「データ転送量」について解説します。
目次
1. データ転送量とは?
レンタルサーバーにおける「データ転送量(または単に転送量)」とは、簡単に言ってしまうと
です。
データ転送量の対象となるのは主に以下の3種類です。
- ウェブページの閲覧(HTTP/HTTPSプロトコルによる通信)
- FTPでのファイルアップロード/ダウンロード
- メールの送受信(POP/IMAP/SMTPなどのメール用プロトコルによる通信)
例えば、誰かがあなたの ウェブサイトを閲覧した場合を考えます。
ウェブの通信には HTTP(やHTTPS)というプロトコルが使われますので、HTTPプロトコルでやり取りされたデータが「転送量」になります。HTTP では、「このURLのページが見たい」というリクエストをウェブサーバーに送ると、サーバーはそのページを HTTPレスポンスという決まった形式のデータに入れて返してくれます。これらのやり取りで送受信された全てのデータの合計値が、この場合の「転送量」です。ウェブページのデータというのは、HTMLファイル・CSSファイル・JavaScriptファイル・画像ファイルなどです。
FTP でファイルをサーバーにアップロードしたり、逆にダウンロードする場合も、やっていることは似ています。今度は FTP というプロトコルで、データをやり取りしているだけです。
それから、メールの場合は、Thunderbirdなどのメーラーアプリケーションを使って、メールを送信したり受信したりする際にレンタルサーバーとやり取りしたデータの合計が転送量になります。

レンタルサーバーサービスのスペック表に、「転送量の目安」として「40GB/日」とか「無制限」などの記載がある場合でも、それがどれを対象に含めているかはサービスによって違いますので確認が必要です。
2. レンタルサーバーの機能一覧に載っている「転送量の目安」
例えば エックスサーバー の場合、プラン毎の「転送量の目安」が 公式サイト に載っています。
X10 | X20 | X30 | |
---|---|---|---|
転送量の目安 | 70 GB/日 | 90 GB/日 | 100 GB/日 |
データ転送量を超えるとどうなるのか?
このエックスサーバーの転送量ですが、目安となる値の表と併せて以下の注意が記載されています。
目安数値を恒常的に上回る際は、ご利用プランの変更をお願いする場合があります。
また、目安数値を大きく上回る転送量が発生する際には、速度制限などの制限を実施する場合があります。
これは、他の業者でもだいたい同じようなものです。転送量を超える場合は、プランを上げるようにしましょう。
他の対応方法としては、ウェブページ内のデータを少なくしたり、キャッシュを利用する機能を追加するなどが考えられます。
3. サイトの転送量を計算してみる
レンタルサーバーサービスによって「転送量の目安」が載っていることは分かりましたが、自分のウェブサイトがその転送量内で収まるかどうか、どう判断したらよいのでしょうか?
これが結構難しいのです。なぜかというと、例えば以下の理由が挙げられます。
- テキストが主体のウェブサイトなのか、画像や動画など大きなデータを載せるページが主体のウェブサイトなのかで、転送量は大きく異なる。
- 1つのウェブサイトであってもページによってサイズは違う。
- サーバー側でキャッシュ機能を使っていたり、ブラウザのキャッシュ機能もあるので、1つの環境からの1回目のアクセスと2回目以降のアクセスとでは転送されるデータ量が異なる。
ということで、正確な転送量を計算するのは難しいのですが、おおよその値を把握する方法はあります。
- 既存のウェブサイトであれば、現在契約しているレンタルサーバーのコントロールパネルから転送量を確認する(その機能があれば)。
- ブラウザに付属しているツールを使って1ページ分の転送量を自分で測定する。
- PageSpeed Insights のようなウェブサービスで1ページ分の転送量を測定する。
3-1. 現在契約しているレンタルサーバーのコントロールパネルから転送量を確認する
しつこいようですが、例えばエックスサーバーであれば、サーバーパネルから転送量を確認することができます。
どのように確認できるか、ざっと説明します。
(1) サーバーパネルの「アクセス解析」をクリックします。

(2) 目的のドメインの右側にある「選択する」をクリックします。

(3) エックスサーバーの場合、最初に「アクセス解析の追加」タブからアクセス解析を 開始させて、データの蓄積 & 解析がされるまで待つ必要があります。解析を開始させてから、後日「アクセス解析の一覧」タブを開き、目的のドメインの右側にある「閲覧」リンクをクリックします。

(4) すると、アクセス解析のウィンドウが開きます。この中の「転送量」の見出しから転送量を確認することができます。

3-2. ブラウザに付属しているツールを使って1ページ分の転送量を自分で測定する
最近のウェブブラウザには、様々なツールが標準でついており、転送量を測定することができます。
ここでは、Chromeブラウザを使って、特定のページの転送量を測定する手順を紹介します。
(1) 転送量を測定したいページを Chrome で開きます。
(2) Windows の場合は Ctrl + Shift + i キーを押して、デベロッパーツールを開きます(F12キーでも可)(Mac の場合は、Option + Command + iキー)。
デベロッパーツールが表示されましたら、[Network] – [All] とクリックしていきます。

(3) Windows の場合は、Ctrl + Shift + r キーを押して、開いているページを再度読み込ませます。(Shift + F5キーでも可)(Mac の場合は、Command + Shift + rキー)
※ このキーによるリロード処理では、ブラウザのキャッシュを使いません。

すると、画面下に転送量が表示されます。
この場合であれば、以下の部分です。1MB弱のデータが転送されたようです。
3-3. PageSpeed Insights のようなウェブサービスで1ページ分の転送量を測定する
PageSpeed Insights は、Googleが提供している ウェブサイトのパフォーマンス測定ツールです。URL指定して計測すると、そのページの表示が遅い原因やその解決方法を示してくれます。そして、この結果には転送量も含まれているため、今回のような場合にも利用することができます。
使い方を簡単に説明します。
(1) ウェブブラウザで PageSpeed Insights にアクセスします。
転送量を測定したいウェブページのURLを入力し、「解析」ボタンをクリックします。解析を開始されます。

(2) 解析結果の中の赤枠で囲んだところに転送量が表示されます。

0.9MB となっており、先ほどの方法で計測した値とほぼ同じ値が計測されました。
ついでに、結果に表示された改善方法に従って、ページの表示速度を改善するのもいいですね。
測定した値を、レンタルサーバーの転送量目安と比較する
3-1 の方法の場合は、コントロールパネルで確認した 1日の転送量を、そのままレンタルサーバーの転送量目安である「○○GB/日」といった値と比較すればよいでしょう。
しかし、3-2, 3-3 で紹介した方法の場合は、あくまで1ページの転送量です。ですので、レンタルサーバーサービスが公表している「転送量の目安」なら、1ヶ月何ページ(ページビュー, PV)表示することができるかを考えてみましょう。
例えば、先ほどの結果で得た「約1 [MB/ページ]」を前提として考えた場合、エックスサーバーのX10プランの転送量目安「70GB/日」だと、1ヶ月何ページ(ページビュー, PV)表示することができるでしょうか?
(2) この値を単純に 1[MB/ページ] で割ると、210万[ページ/月] になります。
ということで、1ヶ月 210万ページビューまで安心して使えるはずです! これは相当な規模のサイトまで問題なさそうです。
とはいえ、上の方でも書きましたが、実際はいろいろな転送量のページがあるでしょうし、サーバー側のキャッシュ機能やウェブブラウザのキャッシュ機能などがありますので、1ページの転送量を単純に掛け算すればいいものでもありません。
ただ、「転送量が目安を超えてしまう! どうしよう!」という事態になると困りますので、多めに見積もっておくとよいでしょう。
4. おわりに
レンタルサーバーにおける転送量について説明しました。
簡単な転送量の測定方法も紹介しましたので、レンタルサーバーサービスを選ぶ際に、参考にしてください。