WADAX のレンタルサーバーサービスには、「共有サーバー」「専用サーバー」「プライベートクラウド」がありますが、ここでは「共有サーバー」のみを対象としています。
1. WADAX と「共用サーバー」サービスについて

サービス名 |
WADAXレンタルサーバー![]() |
---|---|
ターゲット | 大規模なWebサイトを安定して運営したい法人 |
プランと 価格帯 |
|
運営会社 | GMOクラウド株式会社 |
WADAX は、GMOクラウド株式会社が運営するレンタルサーバーサービスです。
元々の運営会社である株式会社ワダックスは、2004年に法人向けレンタルサーバーサービスを開始しています。
WADAX は、大きく分けると「共有サーバー」「専用サーバー」「プライベートクラウド」という3種類のサービスを提供しています。
共有サーバーには、
- TypeB (ブロンズ)
- TypeS (シルバー)
- TypeG (ゴールド)
- TypeP (プラチナ)
という4つのプランがあります。
2. レンタルサーバーの種類
3. プラン比較
TypeB | TypeS | TypeG | TypeP | |
---|---|---|---|---|
初期費用(税込) | 3,240 円 | 3,240 円 | 3,240 円 | 3,240 円 |
月額費用 月換算 (1年分前払) |
1,188 円 (14,256円) |
1,944 円 (23,328円) |
2,808 円 (33,696円) |
3,888 円 (46,656円) |
月額費用 月換算 (3ヶ月分前払) |
– | 2,268 円 (6,804円) |
3,348 円 (10,044円) |
4,428 円 (13,284円) |
ディスク容量 (SSD+HDDのハイブリッド) |
20 GB | 50 GB | 100 GB | 150 GB |
マルチドメイン | – | 10 個 | 20 個 | 30 個 |
転送量課金 | なし | なし | なし | なし |
転送量 | 無制限 (*1) | |||
PHP | CGI版 | CGI版 | CGI版 | CGI版 |
MySQL5 | 1 個 | 10 個 | 20 個 | 30 個 |
WordPress 簡単インストール |
||||
電話サポート | ||||
無料独自SSL | – | – | – | – |
メールアドレス | 20 | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
自動バックアップ | 有料オプション |
※1 公式サイトによると「過去に転送量過多でご利用をご遠慮いただいたことはございません。 」とのこと。
こうしてプランを比較してみると、TypeB はあくまで 低価格プランとして存在しているだけで実際に売ろうとしているようには見えません(「○○円から利用可能!」と言えますので)。
4. 特徴・機能
手厚いサポート
WADAX は サポートNo.1 を目指し、「お客様へのホスピタリティ」を第一にサービス提供に取り組んでいます。自分たちのサポートを「NO! と言わないWADAXのサポート」と表現しています。
電話、メール、フォーム のどのサポートであっても、以下の時間内であれば無料でサポートを受けることができます。
[平日] 午前 9 時 ~ 午後 10 時
[土日祝] 午前 9 時 ~ 午後 6 時
しかも、インターネットの基礎的な知識がないお客様でも、かなり親切に対応して頂けます。
高いセキュリティ
定期的なセキュリティ(脆弱性)診断【標準装備】
サーバーは、セコムトラストシステムズによって定期的にセキュリティ(脆弱性)診断を受けます。インターネット経由での診断です。
特に法人であれば、この手の診断が定期的に実施されるのは非常にありがたいことです。診断をやっておけば簡単に見付かっていたはずの脆弱性が原因で、不正侵入やデータ抽出されてしまった、、、では目も当てられません。
代表的な診断項目は以下となりますが、見て分かる通りこれはウェブサイトに対する脆弱性診断というよりは、ネットワーク系全般に対する診断になります。後で出てきますが、ウェブサイトに特化した脆弱性診断はオプションで用意されています。
代表的な診断項目
- ポートスキャン(TCP1~65535番ポート、UDP1~65535番ポート、OS測定)
- バナー情報取得(サーバアプリケーションに関する情報/設定情報/有効なメソッド・コマンド等)
- 各種サーバアプリケーション(Web、メール、FTP、DNS、SSH等)に存在する脆弱性
- ホストの脆弱性(設定上の不備、サーバアプリケーションの不要な機能の有効化等)
- ルータ/ファイアウォール等ネットワーク機器の脆弱性
この機能が標準装備されているのは、法人向けレンタルサーバーサービスならではです。
セコム不正侵入検知防護システム (IPS) 【標準装備】
IPS とは「Instruction Prevention System」の略で、不正侵入防止システムとも呼ばれます。通信データを監視して、問題を検出したらその種類の通信をブロックします。
WADAX の共用サーバーでは、この IPS を使って不正アクセスを24時間監視しています。
ウィルスチェック【標準装備】
ロシアのセキュリティソフトウェア開発会社 Dr.Web の 製品 (Dr.Web Enterprise Security Suite) を採用しています。電子メールの送受信時にウイルスチェックが行われます。
2つの迷惑メールフィルター【標準装備】
2つの迷惑メールフィルターを採用することで、98%以上のスパム(迷惑)メールを 除去することを可能にしています。
(1) SVM (日本独自のメール事情を把握して累積学習をする、学習型フィルタ)
日本製であるため、日本語によるスパムにも強い効果を発揮します。
(2) Cloudmark (世界的に有名なリアルタイムデータベース更新型フィルタ)
世界中で実績のある迷惑メールフィルタです。
世界中のユーザーから報告された迷惑メールをデータベースへ登録し、フィルタのデータとして利用することができます。
WAF(Webアプリケーションファイアウォール)【オプション】
標準装備されている IPS と似ていますが、こちらはアプリケーションのレイヤーで攻撃を監視します。
主に、「SQLインジェクション」や「クロスサイトスクリプティング」という攻撃からサーバーを守ります。
国産のWebアプリケーションファイアウォール製品である「SiteGuardLite」を採用しています。
Webサイトの脆弱性診断&マルウェア対策「SiteLock」【オプション】
「定期的なセキュリティ(脆弱性)診断」とは違い、こちらは Webサイトの脆弱性診断&マルウェア対策になります。
Webサイトの脆弱性診断に使える無料ツールなども巷に存在してはいますが、なかなか使いこなすのは難しいです。そして、Webサイトの脆弱性も放っておくと、サーバー上のデータを抜かれてしまい情報漏えいが起きてしまいかねません。
頻繁に行う必要はないと思いますが、Webサイトが完成した時や大きな修正を行った際にはこちらの種類の診断も実施しておきたいです。法人であれば尚更です。
転送量無制限
通常、レンタルサーバーでは1日当たりの「転送量の目安」が公開されていることが多いです。転送量というのは、主にウェブサイトにアクセスされる際に発生する通信データ量のことを指します。ですので、ウェブサイトへのアクセスが増えるということは、転送量が増えるということです。あまりにアクセスが多すぎると、通信回線がパンクしてしまい、ウェブサイトを運営する側も困ってしまいますので、パンクが起こらない範囲(= 快適に使える範囲)の転送量が事前に公表されているのです。
しかし、WADAX の場合はこの「転送量の目安」についての情報はなく「転送量無制限」と説明されています。国内最大級・総容量65Gbpsの超高速バックボーン(通信回線)を利用することで、この「転送量無制限」が実現されています。
個人的には「転送量の目安」を公表して欲しい
「転送量無制限」に関して、公式サイトには以下のように説明されています。
WADAXは国内のデータセンターに設置され世界規模の超高速バックボーンに直結されています。しかも他社にないハイスペックサーバーを利用していることから、過去に転送量過多でご利用をご遠慮いただいたことはございません。 しかし、あくまでも共用サーバーですので、あまりにも転送量の多い場合は、上位サービスへの移転や分散をお願いする場合がございますので、あらかじめご了承ください。
引用元:転送量無制限 | Web機能 | 共用サーバー標準 | 共用サーバー | サービス | レンタルサーバーのWADAX
個人的な意見ですが、「あまりにも転送量の多い場合」の一歩手前の転送量を「快適に利用するための転送量の目安」として公表して欲しいところです。
「転送量の目安」がないと、自分のウェブサイトのアクセス数(ページビュー)やページのサイズにとって、このサービスでは転送量が足らないのか、逆にオーバースペックなのか計算することができません。(「転送量の目安」では、「同時アクセスはどれくらいまで耐えられるか?」などは分かりませんが)
「あまりにも転送量の多い場合は、上位サービスへの移転や分散をお願いする場合がございます」としながら「過去に転送量過多でご利用をご遠慮いただいたことはございません」ということなので、転送量が大きくなり過ぎた場合は、代わりに「帯域に制限を掛けられる」可能性があります。
このあたりは契約する前に、直接相談するとよいでしょう。
SSD+HDD(ハイブリッドストレージ)
まず、基本的な知識として、HDD に比べて SSD は高速に動作しますが、容量は小さいですしコスト高になります。ですので、機能によって内部的にサーバーを分けている場合は、それぞれに合ったストレージを使うことで「高機能」と「低コスト」のよいバランスを保つことができます。レンタルサーバーにとって低価格で高機能を提供するには重要になってくるでしょう。
そして、WADAX の公式サイトにある説明文なのですが、以下のような説明文があります。
「データベース機能」や「メール機能」など、アクセス頻度が高く、高速な処理が必要になった際には、WADAXのシステム側で自動的にSSDで処理するように振り分けますので、お客様はSSDやHDDの違いを意識することなく、常にWebサイトのパフォーマンスを最適化することができます。
これは、おそらく「データベースサーバー」と「メールサーバー」が物理的に別のサーバーになっており、そちらには SSD が利用されているのだと予測されます。そして一方、レンタルしている共用サーバーのストレージは HDD であり、こちらのサーバーがウェブサーバーとなるので、ウェブサイトの閲覧時に転送されるサイトのデータ(HTMLなど)は、HDD から読み込まれるということになります。
「メールサーバー」はともかく、「データベースサーバー」で SSD が利用されているというのは、高速化に大きく寄与することになるでしょう。
ただ、共用サーバー自体が HDD だとすると、その割には標準のストレージ容量が小さいですね。
ハードディスクは RAID6 で守られている
RAID とは、ハードディスクを複数台組み合わせて使うことで、「高速化」したり、1台故障しても動き続けるようにしたりできる技術です(よく間違われることがあるのですが、バックアップのための技術ではありません)。
そして、RAID にはいくつも種類があるのですが、WADAX では「RAID6」が採用されています。
RAID6は、最低でも4つのハードディスクを必要とし、そのうち 2つのハードディスクに障害が発生してもデータが消えることなく安定稼働します。その後壊れたハードディスクを交換すれば、データが復元されて元通りの状態になります。
WADAX の共用サーバーにあるデータは、この機能で守られています。
Webサイトバックアップ【オプション】
RAID とは違い、こちらがバックアップの機能になります。
ウェブサイトを構成するデータ(HTMLファイルなど)や、データベースのデータをバックアップするオプションサービスです。共用サーバーのコントロールパネル上の操作により、バックアップをクラウド領域へ保存することができます。
バックアップに関する以下の操作を行うことができます。
- バックアップ(世代管理が可能)
- リストア/ダウンロード
- 履歴の確認
- Webサイトのブラックリストモニター
- Webサイトのパフォーマンスチェック
- スケジュール設定
- 通知メール設定
- 操作方法
無料独自SSLがない
最近のレンタルサーバーサービスによくある「無料独自SSL」はないようで、SSL を使いたい場合は オプションの SSL証明書を使うことが前提となります。
WADAX は 主に法人向けであるため、無料独自SSL よりも信用度の高い有料SSL証明書を使うことを想定しているのですね。
5. 総評
新しい技術をどんどん取り入れていくタイプのサービスというよりは、法人向けレンタルサーバーとして重要な サポート、セキュリティ を重視したサービスです。
コストパフォーマンスを考えると、TypeS プランがお勧めです。ディスク容量が少し小さいですが、法人向け機能が重視されている共用サーバーサービスで、この料金であればかなりお得感があります。
6. 「WADAX 共用サーバー」の年表
「WADAX の共用サーバー」に関するこれまでのプレスリリース等を表にしました。運営会社に関する情報も記載しています。
※ あくまでも調査できた範囲での情報になります。