レンタルサーバーを使う上で、DNS(とネームサーバ)に関して知っているとよい内容を図にしてみました。
1. 前提
- ドメイン取得業者A(レジストラ業者A)を使って、
example.com
というドメインを取得したとします。 - レンタルしたサーバーに Webサイトを設置し、
foo.example.com
というホスト名でアクセスしてもらうことにします。
2. 用語
レジストラとは?
.com
などの TLD(トップレベルドメイン)のデータベースに、直接ドメイン情報(例えば、example.com
など)を登録することができる「ドメイン登録業者」のことを指します。
※ 「レジストラ」だけで業者を表すのですが、本ページでは分かりやすさのため「レジストラ業者」と書いています。
DNSとは?
DNS(Domain Name System)は、主に「ドメイン名」と「IPアドレス」の対応付けを行う分散データベースシステムです。インターネットの基盤技術の一つとなっています。
例えば、このシステムに対して「foo.example.com
というドメイン名に対応したIPアドレスを教えて下さい」というリクエストを送ると、答えである「203.0.113.1
」というIPアドレスを返してくれます(このIPアドレスはあくまで例です)。この変換のことを「名前を解決する」と言います。
インターネットにおいて、どこかしらのサーバーにアクセスするには、ドメイン名ではなくIPアドレスが必要なのです。しかし、人間にとってIPアドレスは覚えにくいですので、代わりにドメイン名でも宛先を指定できるようDNSが使われています。
DNSサーバー(ネームサーバ)とは?
名前解決を行うための「ドメイン名とIPアドレスの対応情報」を管理したり、名前解決の問い合わせを行ったり、その回答を返すなどの役割を行うのがDNSサーバー(ネームサーバ)です。
1つのDNSサーバーが、全世界全てのドメイン名を管理しているわけではありません。1つのDNSサーバーが管理するドメイン名はごく1部に限られており、無数のDNSサーバーが協調して動くことでDNSの仕組みが成り立っています。
独自ドメインを取得してレンタルサーバーを借りた場合は、そのドメインに関する名前解決の情報(そのドメインに所属するホスト名とIPアドレスの対応情報など)をどこかのDNSサーバーで管理して貰う必要があります。通常は、レンタルサーバー業者が用意しているDNSサーバーを使うことができ、管理パネルから設定することができます。
3. 取得したドメインとDNSサーバーを利用している図

図の中でも説明していますが、ここで再度解説します。
(1) レジストラ業者Aを使って、example.com
というドメインを取得します。
(2) レジストラ業者Aが用意している管理パネル(Webから利用できるドメイン管理サイト)を使い、example.com
のDNSサーバーとして「サーバーA」を設定します。「サーバーA」というのは、レジストラ業者Aが保有しているDNSサーバーで、例えば ns1.xxxx.ne.jp
といった名前になっています。通常、レジストラ業者は契約者が利用できるDNSサーバーを用意しています。
(3) 管理パネルから登録した内容は、.com
のデータベースに反映されます。.com
のデータベースがどこのサーバーにあるのかを気にする必要はありません。
(4) レジストラ業者Aの管理パネルから、example.com
のDNS情報を設定します。図にもあるように、ここでは foo.example.com
というホストに対して「IPアドレスD」というIPアドレスを設定しています。「IPアドレスD」というのは、レンタルしたサーバーのIPアドレスです。
(5) 設定したDNS情報は、サーバーA内のデータベースに反映されます。
設定作業は以上です。
(6) 例えば、誰かが Webブラウザを使って「http://foo.example.com
」にアクセスした場合、まずは .com
のデータベースが参照され、「サーバーAに問い合わせてください」という情報が返されます。続けて「サーバーA」に foo.example.com
のIPアドレスを問い合わせると「IPアドレスD」という情報が返されます。こうして、http://foo.example.com
へのアクセスは「IPアドレスD」へのアクセスとなり、レンタルしたサーバーへ無事到達することができます。
注意点
- 「
.com
のデータベース」で管理しているは、所属する下層ドメインの「DNSサーバー」情報です。 - それに対して、「
example.com
のデータベース」で管理しているのは、所属するホストの「Webサーバー」情報(IPアドレス)です。DNSサーバーの情報ではありません。Webサーバーとは、Webサイトのファイルを設置したサーバーで(Webサーバープログラムが稼働している必要があります)、今回の場合はレンタルしたサーバーになります。 - これは今回の説明のために、必要な設定部分だけを取り出しているだけで、実際はどちらのDNSサーバーであってももっと様々な設定を記述することができます。
4. DNSサーバーは他社のサーバーを使っても良い
今回の例では、レジストラ業者Aが提供する「サーバーA」を利用しましたが、これは他社のDNSサーバーを利用することもできます。
その場合、(2) のところで他社のDNSサーバーをセットし、DNS情報はそちらの会社の管理サイトで登録することになります。
もっと言うと、自分で VPSや専用サーバーを借りてDNSサーバーを構築し、それを利用することもできます。高度な知識が必要ですが、個人でもやろうと思えば可能です。
DNSの仕組みはよくできていますね。
5. まとめ
DNS関連は、細かく知ろうと思うと結構難しいです。
本記事の内容をちゃんと理解するのはなかなか大変かもしれませんが、DNSに関する作業を行う際に上の図を見直して頂ければ、何かしら参考になるのではないかと思います。