目次
1. CPI について

サービス名 |
CPIレンタルサーバー![]() |
---|---|
ターゲット | 大規模なWebサイトを安定して運営したい法人 |
プランと 価格帯 |
|
運営会社 | 株式会社 KDDI ウェブコミュニケーションズ |
CPI は、株式会社 KDDI ウェブコミュニケーションズが展開しているレンタルサーバーブランドです。元々は違う社名だったのですが、2007年に KDDIグループに参加し、2008年から現在の社名になっています。CPI 自体は、1997年から始まっている歴史のあるサービスです。
CPI ブランドには、「共用レンタルサーバー」「マネージド専用サーバー」「root権限付 専用サーバー」の3つサービスがありますが、このページでは「共用レンタルサーバー」のみを対象としています。
「CPI 共用レンタルサーバー」において、2019年9月時点で新規契約できるのは SV-Basic という1つのプランしかありません。これは、「共用レンタルサーバーとしては(提供できる範囲で)最高レベルのサービスなので、これで不満があるのであれば、root権限付き 専用サーバーか マネージド専用サーバーを検討してください」と読み取ってよいでしょう。
高機能で料金も高い共用サーバーのためか、利用ユーザーの90%が法人です。
2. レンタルサーバーの種類
3. 主要な機能一覧
CPI の共用サーバーサービスでは、最初に契約したドメインを「主契約ドメイン」と呼び、2つ目以降のドメインを「マルチドメイン」と呼びます。利用できる機能に多少の違いがあります。
SV-Basic | ||
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主契約ドメイン | マルチドメイン | |
初期費用(税抜) | 20,000 円 ※ 12ヶ月契約なら無料 |
– |
利用料金(税抜) (3ヶ月契約の場合) |
4,400 円/月 | – |
利用料金(税抜) (12ヶ月契約の場合) |
3,800 円/月 | – |
ディスク容量 | 300GB (ウェブ 100GB, メール 200GB) |
300GB (ウェブ 100GB, メール 200GB) |
マルチドメイン | 10 | – |
転送量課金 | なし | なし |
転送量の目安 | ? | ? |
PHP | FastCGI版 7.1系/7.2系(デフォルト)/7.3系 |
FastCGI版 7.1系/7.2系(デフォルト)/7.3系 |
MySQL5.7 | 5つまで | 5つまで |
WordPress 簡単インストール |
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電話サポート | ||
無料独自SSL | オプション | |
メールアドレス | 200 | 200 |
自動バックアップ | ※ SmartRelease機能を利用する |
※ SmartRelease機能を利用する |
お試し期間 | 10日間 |
4. 特徴・機能
サーバー領域の分散
ウェブ、メール、コントロールパネルがそれぞれ別のサーバーで運用されます。
提供するサービスに最適化したセッティングをサーバーに行うことができるので、各サーバーの性能をより引き出した運用を行うことができます。
また、ドメインによって異なるサーバー領域が割り当てて利用されるようです。この「サーバー領域」の正確な意味は定かではありませんが、サーバー・ストレージ・コンテナなどの単位で、それぞれ別の領域が割り当てられるのだと思われます。これによりサーバー側の負荷が平準化され、高速化にもつながります。
これらは、1,000円/月 の共用レンタルサーバーサービスにはない特徴です。
SmartRelease
公開用サーバーとは別に、テスト用サーバーが使えるようになっており、テスト用サーバー上で作成したウェブサイトを、ワンクリックで公開用サーバーに素早く安全に転送(リリース)させることができます。逆に、「公開用サーバー上のウェブサイト」を、「テスト用サーバー」に転送する操作も可能です。
WordPress のような CMSツールを使ったウェブサイトを運営するだけならこの機能は必要ないかもしれません。しかし、オリジナルなウェブサイトやウェブアプリケーションを開発して公開している場合、この機能はものすごく便利です。自分でテスト環境を用意しなくて済むうえに、テスト環境から本番環境へのリリースする仕組み も自分たちで用意する必要がないからです。
この機能は、
(1) 新規にウェブアプリケーションを作成する場合
(2) 既に公開中のウェブアプリケーションをバージョンアップするような場合
のどちらの作業でも役に立ちます。
そして、この仕組みをサポートするために、裏でバックアップ用サーバーが動いているのですが、これがちょうど「自動バックアップサービス」も兼ねる働きをしています。
以下のタイミングでバックアップが自動で作成されます。
- 毎日(深夜)
- サイト公開時
- 公開サイトからテストサイトへファイル転送時
バックアップとして保存しておける世代数も多く、「ウェブ領域は30世代」、「データベースも30世代」となっています。
目玉機能の1つといってよいでしょう。
Git
CPI 共用サーバーには、SSH でログインすることができますが、root 権限はありませんので、使いたいコマンドを追加することはできません。できないことはないのですが、かなり面倒です。ですので、root権限を持っているレンタルサーバー業者側が、便利なコマンドをインストールしておいてくれるとありがたいわけです。
こういった状況の中で、CPI 共用サーバーでは、Git が使えるようになっています。正確にいうと、git
コマンドが使えるようになっているということです。
git
コマンドというのは、ファイルのバージョン管理を行うツールです。特に、ソフトウェアの開発において、「プログラムを記述するソースコードファイル」のバージョン管理を行うのに使用します。ないと困るツールです。なので、ウェブサイトやプログラムの開発者にとって非常にありがたい機能です。
Git では「リポジトリ」という単位にファイルをまとめて管理しますが、このリポジトリを CPI のサーバーに置き、インターネット経由でアクセスして利用することもできるでしょう。
SLA(品質保証制度)
SLA(品質保証制度)とは、サーバーの稼働率を保証する制度で、サーバーの障害などにより、保証していた稼働率を維持できない場合には、一定の割合で利用料金が返金される品質保証制度です。
CPI では、SLA を2009年11月1日から導入しており、対象サービス稼働率 100% を保証しています。
24/365 TEL & メールサポート
月額900円 のオプションサービスではあるのですが、専用の電話番号・メールアドレス が用意され、24時間 365日対応してくれます。
このレベルのサポートが必要になるウェブサイトはかなり限られると思いますが、法人としてはありがたいサービスだと思います。
データ移行支援サービス
他者のサーバーを運営しているウェブサイトを、CPI のサーバーへ移行する作業を引き受けてくれるサービスです。
費用はケースバイケースですが、「ウェブサイト(1 サイト)+ データベース (1DB)(WordPress、EC-CUBE、Movable Typeなど)」の場合で、258,000 円~(税別)となっています。
それなりに込み入ったウェブサイトであれば、これは妥当な金額だと思います。
サーバー移転代行サービス
「データ移行支援サービス」が丸ごとお任せの有料サービスであったのと違って、こちらはサーバー移転作業の 一部 を CPI に 無料 で任せることができるサービスです。
その「一部」というのは以下を指します。
- メールアカウントの登録
- FTP アカウントの登録
- ウェブコンテンツの移行
- メールソフトの設定マニュアル提供
- FTP ソフトの設定マニュアル提供
ウェブサイトのセキュリティ
WAF
WAF(Webアプリケーションファイアウォール) は、ウェブサイトへの攻撃を防御するためのプログラムです。
「ファイアウォール」や「不正侵入検知(IDS/ADS)」とは違ったレイヤで動きます。具体的には、ウェブサイトに送られるデータを監視し、攻撃用のパターンが含まれていないかチェックします。主に、クロスサイトスクリプティング や SQL インジェクショ ン といった攻撃がないか監視します。
「正常なものを誤って不正と判断してしまう(誤検知、フォールス・ポジティブ)」ことも時々あり、少し扱いが難しいですが、誤検知が多い場合などには、コントロールパネルから「オフ」にすることもできます。
マルウェア診断(有料オプション)
外部からウェブサイトにアクセス(スキャン)して、「マルウェアがあるか」「改ざんはされていないか」「不正なスクリプトが埋め込まれていないか」などをチェックしてくれる有料オプションです。1日に1回診断が行われます。
攻撃被害にいち早く気付くことができるためのサービスと言えます。
メールのセキュリティ
ウィルスチェックサービス
これは標準でついている機能で、受信メールに対して、ウィルスの検知および駆除が行われます。
シスコシステムズ社の「IronPort」が利用されています。
スパムメールチェック機能
こちらも標準装備されている機能で、受信したメールに対してスパムメールチェックが行われます。アイアンポートシステムズ社のスパムメールチェックシステムが採用されています。
主契約ドメインには 専用IPアドレスが与えられる
共用サーバーですが、主契約ドメインには 専用IPアドレスが与えられます。
「無制限」な項目はなくなりました
SV-Basic の前に提供されていた ACE01 では、ディスク容量・マルチドメイン設定数・データベース設定数・メールアカウント数などが無制限になっていました(少なくともスペック上は)。SV-Basic ではこれが有限になりました。リソースを大量に利用したいユーザーにとっては残念ですが、共用サーバーの安定稼働には寄与するでしょう。
5. 総評
法人向けのサーバーに求められる「スペック」「機能」「サービス」を高い基準で満たした共用レンタルサーバーであり、これはすなわち共用レンタルサーバーとしては最高ランク であるということです。
もちろん、共用レンタルサーバーであるため、他のユーザーが運用しているウェブサイトの影響を受けるというマイナス面はありますが、高品質なウェブサイトの安定した運営を望む法人であれば、まずこのレベルのサービスを最初に検討してはいかがでしょうか。
それでも問題があるのであれば、そのときになってはじめて「root権限付 専用サーバー」や「マネージド専用サーバー」といった専用サーバーサービスを検討すればよいのです。無駄なコストを掛ける必要はありません。
6. 「CPI」の年表
「CPI」に関するこれまでのプレスリリース等を表にしました。レンタルサーバーだけに限らず、CPIブランドのサーバーすべてを対象とした年表になっています。
※ あくまでも調査できた範囲での情報になります。