
1. ConoHa VPS について

サービス名 | ConoHa![]() |
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ターゲット | 月1,000~2,000円でサーバー側を自分で設定して Webサイトを運営したい個人 (Linuxを勉強したい人も!) |
プラン と価格帯 |
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運営会社 | GMOインターネット株式会社 |
ConoHa VPS は、GMOインターネット株式会社が運営するVPSのレンタルサーバーサービスです。
GMOインターネット株式会社は、以前から「お名前.com 共用サーバーSD」「お名前.com IaaS型クラウドサービス」など多くのレンタルサーバーサービスを提供してきた企業ですが、”VPSの次の世代のサービス” を体現すべく「ConoHa」ブランドを誕生させました。GMOインターネット株式会社としても、野心的なサービスであり、最初からかなり力を入れていたことを伺わせます。
ConoHa ブランドでは、現在以下の3つのサービスが提供されています。
サービス種類 | サービス名 | サービス開始時期 |
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共用レンタルサーバー | ConoHa WING | 2018年9月 |
VPS | ConoHa VPS | 2013年7月 |
VPS(Windows) | ConoHa for Windows Server | 2018年4月 |
本ページで取り上げる ConoHa VPS が先行してリリースされていたわけですが、このサービスの評判が高かったため、ユーザーから「ConoHa VPS の高速性と使いやすさを持つ(共用)レンタルサーバーを利用したい」という声が多数寄せられたのが、ConoHa WING 誕生のきっかけだそうです。
2. プラン比較
プランの数が多いですので、ここではリージョンは「日本(東京)」、プランは「512MB」から「8G」までを表にしました。
「1Gプラン」「2Gプラン」がお勧めなので色を変えています。
プラン | 512MB | 1GB | 2GB | 4GB | 8GB |
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初期費用 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 |
月額費用 | 682 円 | 968 円 | 1,848 円 | 3,608 円 | 7,348 円 |
メモリ | 512 MB | 1 GB | 2 GB | 4 GB | 8 GB |
ディスク容量 | 30 GB (SSD) |
100 GB (SSD) |
100 GB (SSD) |
100 GB (SSD) |
100 GB (SSD) |
CPU | 1コア | 2コア | 3コア | 4コア | 6コア |
ネットワーク回線 | インターネット:100Mbps共有 プライベートネットワーク:1Gbps共有 |
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データ転送量 | 課金なし、無制限 | ||||
リージョン | 日本(東京) / アメリカ(サンノゼ) / シンガポール(*1) | ||||
ネームサーバー | 5 ゾーン | 5 ゾーン | 5 ゾーン | 10 ゾーン | 10 ゾーン |
OSテンプレート |
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お試し期間 | なし | ||||
最低利用期間 | なし |
*1: 512MBプランは日本(東京)のみ。
3. 主な機能・サービス
初期費用がなく、時間単位での課金となる
初期費用が無料となっているため、初めてVPSを使う方や他社のレンタルサーバーサービスから引っ越しする方への負担が軽いです。また、毎月の費用は「時間課金」となるため、月の途中での契約・解約でも無駄な料金が発生しません。データ転送量も無料です。
また、最低利用期間もありません。
必要な時に素早くサーバーを調達したいという場合にも向いています。

(512MBのサーバーを追加して約半日後)
豊富なテンプレート
サーバーを追加する際に、指定したOSやアプリケーションをインストールすることができます。
OSテンプレート

(随時追加されていきます)
2018年8月時点でのOSテンプレート利用率は以下となっています。
第2位 CentOS 6.x 7%
第3位 Ubuntu 16.04 4%
世界的にはサーバー用途でも Ubuntu のシェアが伸びていますが、ConoHa ではその影響がないようです。
アプリケーションテンプレート

(随時追加されていきます)
「WordPress(KUSANAGI)」「Minecraft」の利用率が高く、25%前後あります。「LAMP(PHP)」「Docker」も多く使用されています。
WordPress(KUSANAGI)
「KUSANAGI」は、プライム・ストラテジー株式会社が開発・構成する、WordPressを高速に動作させるための仮想マシンおよびそのイメージです。このイメージには、CentOS・Nginx・Apache などのソフトウェアが使用されているのですが、「WordPress の高速化」に特化したチューニングが施されており、秒間数千リクエストをさばくことができます。
「共用レンタルサーバーではなく VPS で WordPress を使いたい」という場合、WordPress を高速動作させるためには、関連ソフトウェアの膨大な知識とノウハウが必要となり、とても大変な作業になります。そのような時に、この「WordPress(KUSANAGI)」テンプレートを使うと、何も苦労することなくこの環境を用意することができます。
Minecraft
Minecraftでは、複数人で一つのワールドにログインして同時にプレイする「マルチプレイ」が可能ですが、インターネット越しに複数人で同時プレイするには、マルチプレイ用の「マルチサーバー」を用意する必要があります。
このテンプレートを使うと、この「マルチサーバー」を自動で構築することができます。
Mattermost
Slack という有名なチームコミュニケーションサービス(グループでチャットができます)がありますが、Mattermost はその Slack と互換性を持ったツールで、自分のサーバー上に構築することができます。
Slack と互換性がある(Slack のデータをインポートしたりできます)だけでなく、Slack に足らない機能を独自実装しています。これ以外にも Slack に対する優位性はいくつもありますが、詳しくは What Slack might learn from its Open Source alternative | Mattermost(英語)を参照してください。
スタートアップスクリプト
特定の作業を行うためのコマンドをまとめたスクリプトファイルを、サーバー作成時に自動で実行させることができます。ConoHa のサイトに用意されているスクリプトファイルを指定することもできますし、自分で作成したスクリプトファイルを指定することも可能です。この機能により、効率よくサーバーを導入・設定することができます。
ConoHa のサイトに用意されているスクリプトファイルの中には、ウェブサイトをHTTPS化する際に必要な SSL証明書を作成するツールである「Let’s Encrypt」をインストールするものがあります(CentOS を使うことが前提で、LAMPもインストールされます)。Let’s Encrypt は、導入時の操作が少し面倒であるため、このようなスクリプトが用意されているのは大変ありがたいです。
スケールアップ・ダウン機能
リソースが追加で必要になった時 / 必要なくなった場合には、柔軟にプランを変更することができます。プラン変更においても、時間単位で料金が変更されうため無駄なコストが発生しません。
プライベートネットワークでの複数台構成が可能
プライベートネットワークを使った複数台構成にすることができます。
特に、DBを別のサーバーで運用したい場合に備えて、「DBサーバー」の追加オプション(有料)が用意されています。
DNS機能が無料で利用可能
ConoHa の提供するネームサーバーを無料で利用することができますので、特定のドメインに関するDNSレコードを追加・編集・削除することができます。

OpenStack API が使える(RESTful API)
ConoHa は、OpenStack を採用して構築されているため、OpenStack API が公開されています。
このため、自作プログラムを作成することで例えば以下のような操作を自動実行させることができます。
- 仮想サーバー(VPS)の作成/停止/削除
- オートスケール
- スナップショットの自動化
- Chefなどをの運用自動化ツールを使った環境構築
自動バックアップはオプション
自動バックアップはオプションです。
ディスク容量に対する料金は以下となります。基本ディスク 50GB であれば、月額300円で利用できます。かなり良心的な金額です。
ディスク容量 | 月額料金 | 1時間単位料金 |
---|---|---|
50GB | 300円 | 0.5円 |
250GB | 1,000円 | 1.4円 |
550GB | 2,000円 | 2.8円 |
※ 512MBプランでは利用できません。
バックアップは 週に1回 取得され、最大 3世代 まで管理できます。
保存されたバックアップからサーバーの再構築を行ったり、新しいサーバーを作成することもできます。
また、「自動バックアップ」ではなく「手動バックアップ」であれば、「イメージ保存」という機能が使えます。ディスクイメージを保存する際に、サーバーを止めておく必要がありますが、50GBまでは 無料 で利用できます。
セキュリティ
二段階認証が利用できます
ConoHa のコントロールパネルサイトへのログインには、二段階認証を利用することができます。
これを利用すると、パスワード以外の認証も必要になるため、第三者によるアカウント乗っ取り行為を防ぐ効果があります。アカウントの乗っ取り行為は、「情報の書き換え」「データの流出」「サーバーの不正操作」などにつながります。
ログインする度に二段階認証するのは面倒なため、事前に端末、又はブラウザを登録することで、二段階認証を30日間省略することもできます。
ログイン通知機能
ConoHaのコントロールパネルサイトにログインした際に、登録したメールアドレス宛に通知が送信されるよう設定することができます。
この機能をオンにすることにより、第三者よるアカウント乗っ取り行為を早期に発見し、対処することができます。
各種サポート
メール、チャット 電話によるサポートが用意されていますので、初心者の方でも安心して利用することができます。
サポートの種類 | 受付時間 |
---|---|
メール | 24時間 |
チャット | 10:00~18:00(平日のみ) |
電話 |
コントロールパネルは多言語で表示可能
コントロールパネルの表示に使用される言語は複数の中から選択することができます。現時点では、「日本語」「英語」「中国語」「韓国語」の4ヶ国語が用意されています。

このはモード!?
モード設定で「このはモード」を選択すると、コントロールパネルの背景として ConoHa のキャラクターである「このは」ちゃんが表示されます。どこに何が表示されるかは、季節や画面によって変わっていくようです。面白い試みなのではないでしょうか。


ディスク容量が増量されました(2020年1月)
2020年1月にディスクが増量されました。
それでも足らない場合は、「追加SSD」というオプションがあり、200GBなら 月2,500円(3.5円/時)、500GBなら 月4,500円(6.5円/時)でディスク容量を追加することができます。
また、「DBサーバー」オプションが 10GB 500円/月(0.7円/時)で使えますので、DBを使用する場合はこちらのオプションを検討するとよいでしょう。
4. 総評
512MBプランはいくつか利用できない機能があるため、ちゃんとウェブサイトを運営する目的であればお勧めしません。サーバーのテストや実験には最適でしょう。
料金が定額でありながら時間課金という無駄のない料金体系であり、クラウドのように柔軟にリソース変更(プラン変更)ができるというのは大きな魅力です。また、VPS を使うのはソフトウェアエンジニアが多いわけですが、そういう人たちにとって OpenStack API が使えるというのも非常に面白い要素となります。
総合しますと、お勧めは 1GB / 2GBプランです。それなりのページビューがある場合は、メモリが 2GBあると安心です。そして、さくらのVPSでSSDを選ぶことを考えると、スペックも料金もだいたい同じくらいになります。但し、機能的に面白いのは ConoHa です。ここに魅力を感じる方であれば、ConoHa は使ってみる価値があります。メモリに 4GB / 8GB が欲しくなった場合で、ディスク容量に不安があるのであれば、 DBサーバーオプションという選択肢もあります。
機能的な面白さを重視して VPS を選んでよいなら、ConoHa をお勧めします。選ばない理由がありません。
サービスとしての実績を重視するなら、さくらのVPS でもよいでしょう。
5. 「ConoHa」の年表
「ConoHa」に関するこれまでのプレスリリース等を表にしました。
※ あくまでも調査できた範囲での情報になります。